スリル満点ジップライン
翌朝、朝食が部屋まで運ばれてきた。
南国のフルーツいっぱいの朝食。飛んでくる鳥を見ながら頂く。幸せ。
本当にこのHotel Palo Altoは素晴らしい。
この庭や鳥や広くて快適なお部屋、それからスタッフの親切さ。今まで世界中で泊まったホテルの中でも最高だと思う。
ここに泊まれてよかった。出来る事なら、ここに住みたい。
ホテルのオーナーはアメリカ人。
最初にオーナーのご両親がリタイヤ後にパナマに移住してきて、その後息子さんが来たらしい。
「息子がホテルを買っちゃって手伝ってくれというから、リタイヤしてたけどまた働いてるわよ。」
と、そのおばあちゃんは笑顔で話していた。
パナマに移り住んで何年にもなるけど、スペイン語は話せないらしい。
「まぁ何とかなるもんよ。パナマでは細かい事気にしてたらダメ。大きな心でいかないと。」
と、ガハハと豪快に笑っていた。
可愛いばぁちゃんだった。
今日の予定は午前中にコーヒーツアー、午後にジップラインツアーが入っている。
どちらのツアーも、昨夜ホテルのマネージャーが予約してくれた。
10時に、こんなジープがお迎えに来てコーヒーツアーに出掛ける。
ボケテはコーヒーの産地。
コーヒー農園があちこちにあり、どこもコーヒーツアーは早朝にやってるが、ここのツアーは朝ゆっくり出来るのでここに決めた。
ツアー参加者は、私達家族とヨーロッパ人カップルだった。
とてもフレンドリーなカップル。1ヶ月ほどの旅行中らしい。
このカップルとは、次の目的地ボカスデルトロのホテルでも再会する事になるとは、この時は知りもしなかったが。
ジープは山の中まで走り、小さなコーヒー畑に到着。
ツアーが始まった。
ガイドの人が知識が豊富で、コーヒーの歴史や育て方などを詳しく説明してくれた。
この赤い実がコーヒー。
これを乾燥させたり焙煎させたり、色んな工程を経て、コーヒー豆に変身する。
コーヒーの試飲付き。
なかなか興味深いツアーだった。
3時間で1人$30。
ツアー終了後、ジープでダウンタウンまで戻った。
ランチの後は、期待のジップラインツアーに行く。
ジップラインとは、木々の間に張られたワイヤーロープをプーリーと呼ばれる滑車を使って滑り降りるアクティビティである (ウィキペディアより)。
ツアーは、1人$65もするちょっとお高いツアーだった。
だけど昨夜もマネージャーのロバートに、「これは絶対オススメ。」と、強く推された。
「とにかくすごいから。世界2位だから。」
と言うロバート。
世界2位?
何が2位?
長さか?
それとも高さか?
1位じゃなくて2位ってところが、また何か怪しい感じ。
スリルはかなりの物らしい。
だけど80歳のおばあちゃんも挑戦して喜んで帰ってきたから大丈夫と、ロバートは言っていた。そんなロバート情報を信じて、家族4人で参加。
先ずはダウンタウンにある事務所の行き、「何があっても訴えません」という紙にサインさせられる。
そして、荷台の長いトラックみたいなバスに乗せられ山道を揺られる。
このバス乗り心地、最悪。
デコボコの長い長い山道でお尻が痛い。荷台に乗せられる馬や牛の気持ちが分かった。
40分ぐらいして、やっと山の上のホテルに到着。
そこでインストラクターが待ち構えていて、器具や手袋やヘルメットなどを装着させられた。
ずらっと並べられた参加者。
ここに座って、最初に講習を受ける。
この椅子の前にはロープが張られていて、そこで説明。インストラクターが持ち方やポジションを教えてくれた。
後ろに置いた手で、ブレーキかける事も可能らしい。
身軽なインストラクター。
ひょいひょいと、ロープを滑ったり登ってきたり。
すごいな。こんなに簡単に出来るものなのか?
説明が終わると、もっと上の方まで歩かされた。
途中でインストラクターが立ち止まり、指を指す。
あ、あんな所に!
発見!
幻の鳥ケツァール!!!
世界一美しい鳥とも言われ、早朝にこの鳥を探すツアーもやっている。
と言っても、幻と言われるのは雄の方で、これは雌のケツァールだった。
それにしても美しい鳥だ。鳴き声も、歌を歌ってるみたい。
世界には、こんな鳥がいるのね。ぜひ雄も見てみたい。
そしていよいよ出発地点に到着。
ここまで遠かった。
出発地点は、思ったよりも高かった。
本当に高かった。
ねー、本当にここから飛び降りるんですか?
もう下が見えない程の高さ。
足がすくむ。
最初の一歩が踏み出せない!
↑こんなに高いんです!!
怖いって!
超怖いって!!
「大丈夫大丈夫。やってみたら、思った程怖くないわよ。」
私が怖がってると、後ろの可愛いお姉ちゃんがそう言って笑ってた。
「これやった事あるの?」
「ないけどね。」
と言ってまた笑うお姉ちゃん。
度胸あるよな。さすが、身体じゅうタトゥー入った怖そうなお兄さんの彼女なだけあるわ。
ついに私の番になる。
「コンニチワ!」
妙に明るいインストラクターが、私の胸についてるフックをケーブルに引っ掛ける。
命綱はこれだけ。
「チャオ!」
インストラクターに背中を押された。
ぎゃー。
怖いーー。
風のようなスピードで緑の中を滑っていった。
怖過ぎて下が見られない。
どんだけ高いんだ?
グラグラと不安定で、風が吹いたら揺れる揺れる。回される。
左手で胸のロープを持って、右手を後ろのケーブルに手をかけ、どうにかバランスをとる。
そしてようやく滑り終えた次のステーションは、こんな板の上。
ここで待つわけ?
滑った後も怖いじゃん!
手すりもないし。
下が見えない。高すぎる。
ビル何階分の高さ?
いやいやビルよりもずっと高いか。
えーと本当に、80歳のおばあさんがこれやったんでしょうか?
いったいどこの80歳よ?
これは相当の怖さだよ。
今まで事故がなかったか、知りたい。(いや、今は知りたくない。)
アラシも滑る。
遠くに人が。
ヘルメット姿が面白いリーガンでした。
このジップライン、3.5km。
長い!
長過ぎる!!
ステーションが14もある。
滑って降りるだけで2時間もかかった。
こんなに長いと慣れもくるわけで、最初の方はガチガチで肩と首が痛かったが、最後の方は怖さも薄まり、とにかく途中で止まらないように、それだけ気を付けていた。
と言うのも、滑車の途中で止まってしまうと、自分で綱を持って渡っていったり、インストラクターに助けに来てもらわないといけなくなったり、面倒臭いから。
空を飛んでいるような高さ。
ここでようやくゴール。