子連れアウトドア合宿2 〜妥協しないキャンプ編〜


キャンプ当日の朝。
集合時間の朝9時半にうちに来たきすかさんは、持って行くバックパックを見て、目を丸くしていた。





「こんな大きな物を、本当に背負って歩くの?」


電話で話を聞くのと実際に実物を見るのとでは、印象が違ったのだろう。
リーガンによって荷物を詰められたバックパックは、山のような大きな物体になっていた。

そんな驚きのきすかさんに追い打ちをかけるように、今日の目的地への地図が手渡される。



「はっ?ここって、どこ??」


一目見ただけでは何処だか分からない、道も何もないような山の中。そんな地図だ。
その場所は、アンカレッジからかなり離れた場所。きすかさんがこの18年間のアラスカ生活で一番遠くに運転した場所から、さらに4、5倍も遠い所にあった。

私はハイウェイを運転出来ないので2台の車のうちの1台は、きすかさんが運転するしかない。







きすかさん、しばし呆然。





「大丈夫!きすかさんの運転なら、全然平気だって。」

自分は出来ないくせに、無責任にも簡単な事をすぐ言う私。
しかしそんな言葉を聞いて、きすかさんは、


「そうだよ、大丈夫だ。出来るよ。じゃあ、行こう!」



と、強く言った。
すぐ気持ちを切り替えて、立ち向かっていくこの強さ。さすが、きすかさん。この人といると、元気が出るな。
でもきすかさん、その言葉って自分に言い聞かせてる?




きすかさんの車に私も乗せてもらって、前に行くリーガンの後を追いかけるドライブとなった。
リーガンには、
「きすかさんは、そんなに遠くには運転した事がないからね。」
と言っておいた。



ところがリーガン、飛ばす飛ばす。まるで後ろの私達を気にしていないかのように、グレンハイウェイを、びゅんびゅん走っていく。




「ぎゃー。リーガンさん、なんでこんなに飛ばすのよぉ。女子供が後ろにいるって事を、忘れているのかー!」


きすかさんはぎゃんぎゃん騒ぎながらも、上手く運転しリーガンに付いていった。



だが、私は知っている。
リーガンはちゃんとバックミラーで、きすかさんを見ながら運転している事を。


そして、
「60マイルは出せるのか。じゃあ、65マイルはどうだ?」

などと、後ろの様子を見ながら、徐々にスピードを出している事も。







きすかさん、あなたリーガンにテストされてるよ?



そしてそのテストに、ちゃんとパスもしているし。

それにしてもアラスカの景色は、なんと美しい事か。
アンカレッジをちょっと離れると、大自然が広がる。
大きな大地や山、ポカリスウェットのCM撮影も行われたマタヌスカ氷河、エメラルドグリーンの湖に浮かんでいる水上飛行機。
そんなに遠くに行かなくても、どこでもキャンプが楽しめそうな感じだ。


しかし、リーガンは走り続ける。どんなに美しい景色が目の前に現れようと、たとえ何時間も運転しようと、行くと決めた所に必ず行く。
そして周りを巻き込み、みんなを冒険させる。そんな男だ。




妥協をしない男、それがリーガン。





途中小さな飛行場で休憩。昼食のサンドイッチを食べ、また走る。
どんどん人も車も少なくなりデナリハイウェイに入ると、そこは砂利道。砂埃をあげながら、走る走る。
そしてようやく、目的の駐車場に到着。

ここまでアンカレッジから車で6時間走った。
この時点で、夕方の5時。


日は暮れない、ここは白夜の地。
さぁ、今からだ。歩くぞ!


こんな大きな荷物、背負うのは初めての子供達。みんな、おっかなびっくり。ふらふらしながら歩き出す。


目指すは、今夜の寝場所だ。
それも、妥協しない男が納得するような、素晴らしい景色の寝場所。

この逞しい背中について行け。


360度全部見渡せる、こんな景色。とっても壮快。
空気も澄んでいる。


前を歩いているのは、9歳のマックス。
「キャンプ地で、木がなかったらキャンプファイヤーが出来ないから。」
と、こんな丸太を持ってきた。




「重いから、これは置いていって。」
と何度きすかさんが言おうとも、

「いや、これはキャンプファイヤーにするんだ。」
と意思を曲げずに、重い木を自分で持って歩くマックス。




そうか、きみもか。

きみも、妥協しない男なのか。




最初はみんな張り切って歩いていたが、1時間もすると、慣れない重い荷物に挫けだす。
文句が出たり、弱音を吐いたり。辛くて泣き出す子供もいた。




でも休憩を取り水を飲んで、元気になったらまた歩き出す。

自分で歩くしか、選択はない。
出来ないと言っても、子供はまだ頑張れる。そして出来たら達成感で自信がつく。
みんなガンバレ、ガンバレ。


3時間、歩いた。
重い荷物を持ち、みんな疲れ切っていた。


「もうこの辺で、いいんじゃない?」
リーガンに聞いてみるも、


「まだもう少し。ここではまだ、車の道が見える。」






車の道って、ずっと遠くの下の方に、1時間に2台も通らない道があるだけなのに...。
もちろん人間なんて、ここには私達以外、誰もいない。




どんだけ妥協しない男なんだ!



うちの子供達は慣れているけど、きすかさん家族にとっては初めての体験。
もうそろそろ許してあげないとキャンプが嫌いになるのでは。



「子供も疲れて泣いているよ?」
と言ってみる。




「泣いてるからと許していたら、子供は成長しない。俺は行くぞ。」


と、リーガンは子供の荷物も入れて3人分のバックパックを1人で背負い、前を歩いて行った。



その後ろ姿を見て、ちょっと闘志が湧いてきた。

「さぁ、もう少し歩くよ。」
と言うと、さっきまでもう動けないと言っていた子供達が立ち上がった。
リーガンの姿を見て、子供達も何か感じたのか。
もう、文句は言わなかった。



妥協せずに歩き、到着した今日の寝場所。
子供達の顔は、達成感で清々しい。


そこで食べたのは、ただのホットドック。でもそれが、どんなごちそうよりも美味しかった!
夜の10時前に見たそこの風景は、不思議な光が射し、何か神秘的だった。
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No title

すばらしい~~!!!!! みんなが、素晴らしいですね!!!
初めて荷物の大きさと重さを見たときの気持ちと、それを背負って歩き、見られた景色を、私も思い出させてもらいました。

No title

リーガンさんの後ろ姿を見て闘志が湧いてきた、、、、私まで闘志が湧いてきたよ!
それにしてもきれいーーー、神々しい。

民族大移動・・・この五文字が浮かんだ。
食べ物は足りたのか???
この子達の食いっぷりを知っているだけに気になる。

No title

すごいなぁ、子どもたち。
私なんてキンケードハイキングでくたくたになってたのに・・・(汗)

私もリーガンさんに鍛えてもらわなくちゃ、
でも泣いても許してもらえないのよね。。。

No title

リーガンさん あの時、自分の荷物の上に、アラシとジョシュアの荷物を載せて「皆も疲れているけれど僕も疲れている。でも、行くぞ」と歩き始めたんだよ。その姿に皆圧倒されたよね。妥協しない男達の旅だったね。

No title

>RT(妻)さん
ありがとうございます!
マッキンリーにも登ってしまう山登りプロのRTさんも、もちろん初めてのバックパッキングがあったのですね〜。
大変な思いをして行く所だから余計に、そこで見られる景色って最高ですよね。

RT(妻)さんも、楽しい夏を過ごして下さいねー!

>cocoさん
食べ物は、足りたよ。キャンプで食べる物って、何でも美味しいよ。

子供達はよくがんばった!すご〜い景色だったよ。やっぱりアラスカは素晴らしいね。

No title

>ゆーみんさん
泣いても許してくれないよ☆
冗談言って、笑わせてはくれるけど。自分で行くしか、選択の道はないんです。

だけどキャンプって楽しいんですよ!がんばっただけ、印象深くなるし。帰ってきて一週間、またあの景色が見たくなりました。

>きすかさん
あのリーガンに、よく付いてきたよね!最初の運転から冒険させられるし、きすかさんにはとても大変な日だったよね。

思い出すと、何から何まで計算されたようにドラマのあった、いいキャンプだったよね。

No title

今日リーガンさんを追っかけて、
キャンプすごかったですねって言ったら、
『全然、ただ歩いただけ』って言ってました。

タダモノじゃないですね。

No title

読んでるだけで疲れました。

アラスカの子供たちはすごい!!
いや、子供ってどの子もきっとすごいパワーを秘めているんだ。

キャンプ地の景色は素晴らしいですね。

ところで、街の中を走るより、ハイウェイを走るほうが楽な気がしますが・・・?

No title

>ゆーみんさん
約束どおり、りーがんに声をかけてくれたんですね!

ははは。あのキャンプはリーガンにとっては、そんなに大変じゃなかったと思います。
でも私にとって、初級コースではありませんでした。中級かな?
ちなみに上級は、去年のチャーリーリバー川下りです。

>ちびすけさん
読むだけで疲れる(笑)!?

子供達は、よくがんばりましたよ。キャンプ後は、逞しくなった気がします。この成長に、母は泣かされる!

私は、ハイウェイが怖いんです。あの速さに緊張する...。運転下手ですから、大人しく下道をトロトロ走ります。


プロフィール

Nami

Author:Nami

アラスカ在住。

アメリカ生活20年。(いつの間にか)
99年に島根県隠岐の島で知り合ったアメリカ人リーガンと結婚し、テキサス移住。
2006年に夫の思い付きでまさかのアラスカお引越し。
息子は2人。(ムサシ&アラシ)
アンカレッジの山の家に住んでます。

夏はアウトドアで遊び、冬はひたすらジムに通う。
現在は、釣りとズンバに夢中。


「心も身体も健康に。毎日ハッピー」が私のテーマ



*ズンバインストラクター
アンカレッジでズンバクラスをしてます。ぜひ参加して下さい!
初心者大歓迎。

月曜日 6pm~ Body Renew South
火曜日 6pm~ The Salvation Army Center
木曜日 12pm~ The Salvation Army Center



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*西邨マユミ アラスカ支部マネージャー
アラスカでプチマクロお料理教室してます。お仕事の依頼は
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