子連れアウトドア合宿3 〜野外学習編〜


翌朝は曇り空。
昨夜のキャンプは、白夜で一晩中明るかったがぐっすり眠れた。さすがに疲れていたんだろう。


きすかさん達も起きだして、珈琲やホットチョコレートと簡単な朝食をとる。


ぼーっとしていた私のすぐ側を、何か茶色い物が横切った。


雷鳥だ!
可愛い赤ちゃん雷鳥もいるぞ。


雷鳥は、その周辺を赤ちゃんと走り回っていた。
なんか丸くて、ちょこちょこ走っていて、とても可愛い。
思わず笑顔になってくる。


その様子を見て、すぐに俳句を詠むきすかさん。
キャンプ俳句か。
色んな表現方法があるな。スバラシイ。




そしてリーガンは呟く。
「赤ちゃんがいるんだ。残念。
そうじゃなかったら、石で獲って今夜のおかずになったのに。






えっ!あんな可愛い鳥、あなたは食べる気ですか?





子供達は雷鳥にもかまわず、側の湖で飛び石をして遊んでいた。
昨日から、何回水を弾いて飛んでいくのか、競争しているようだ。平たい石を拾っては、湖に投げ入れ喜んでいる。

この辺には名もない小さな湖がたくさんあって、その中の1つの湖の側にテントを張っている。

バックパッキングでは、川や湖の側でキャンプをする。重たい水を持っていけないからだ。
この水で食器も洗うし子供は遊ぶし、水を濾して飲料水としても使う。





水際で遊ぶ子供達を見ていると、リーガンが湖の中に入っていった。

夏と言えども、ここはアラスカ。
湖の水は、冷たい。
それでもかまわず、リーガンはじゃぶじゃぶと水の中に入る。そして膝の所までくると、

「ここまで来られたら、パワーポイント10点!」
と、子供達に言った。

恐る恐る水に足をつけていた子供達は、それを聞いてシャツを脱ぎ、パンツ一丁で騒ぎながら湖の中に入っていった。



リーガンの所まで到達した、きすかさんの下の子、7歳のジョシュア。
この笑顔!


ジョシュアは昨日、重たい荷物が辛くて
「もう帰りたい。いつ家に帰るの?」
と何度も言ってたはず。

それが今日は打って変わって、
「楽しい!ずっと帰りたくない。」
とはしゃいでいる。
何も玩具やゲームがなくても、自然の中で遊べばこんなに楽しい。



もう冷たさも気にしないで、水の中を泳ぐ子供達。
こんな経験が、一生の思い出になっていくんだろうな。





山の天気は変わりやすい。
さっきまで、Tシャツで大丈夫だった温度が急激に下がり、みるみるうちに黒い雲が出てきた。



ぐるりと見渡せるこの丘からは、雨の降っている場所がよく分かる。
その雨雲が真上にやってきて、辺りは暴風雨となった。

しばらくテントに避難する。
びゅんびゅんと激しい雨風に倒れそうなテントの中でトランプや伝言ゲームをして、嵐が過ぎ去るのを待った。





雨が止むとリーガン隊長が、探検に行くぞとみんなに告げた。

風が収まると、途端に蚊の大群がやって来る。
こんな蚊防止アミを被って、探検に出かけるちびっこ隊。


一同は、一列になって隊長の後に続いていった。

湖を越え丘を越え、まずリーガンが連れてきたのは、こんな雪の固まりがある場所。


この雪の下に、ベーコンやらハンバーグやら食料が隠されていた。
昨日のうちにリーガンがここを見付け、食料の保存場所として使っていたらしい。冷蔵のため以外にも熊防止のため、食料はテントから離れたここに置いたらしい。

この雪の綺麗な部分を水として補充するという指令を受け、みんな水筒の中に雪を積める。


そしてまた、どんどん歩き出す。
今日は荷物がないぶん、昨日よりもみんな軽快に歩いていく。




途中で珍しい物を発見すると、リーガンはその場にみんなを集め講義を始める。


この場所で説明していたのは、山で見付けられる濾さなくても飲める水の見付け方。
こんな知識があると、どこでも生き延びられるぞ。





まさにサバイバル学習。


これは役立つ(アラスカでは。)。




そして次にリーガンが止まった先には、熊の足跡が。
大きな大きな足跡だった。
でも結構古そう。足跡の中から草が生えていた。リーガンが、去年の秋頃の物だろうと言った。
その一帯には、ブルーベリーの木がたくさんあった。まだ実は成ってないが、あと1ヶ月もすれば辺り一面ブルーベリー。たくさんの熊が食べに来るだろう。



今回のキャンプ、実は私は熊の事をちょっとビビっていた。
と言うのも今年は熊の出没が多く、何人もの人が襲われ怪我をしたというニュースをよく聞くからだ。

このキャンプではガンは持っていかないし、子供もたくさんいるので余計に、万が一の防御策を考えなければいけない。

覚悟して、この場に来たのだ。


でも来てみると、動物がほとんどいない。
今まで見たのは、今朝の雷鳥とホッキョクジリス、あとは名前の知らない鳥だけだった。
この周辺は低い植物しかなく周りがずっと先まで見渡せるので、木の間から突然に熊が現れるなどという心配はしなくても大丈夫だ。
きっと、このブルーベリーが成る頃にしか熊はやって来ないんだろう。

一同は、遥か遠くに見える山の上を目指していた。

「あの山の上にいるドラゴンをやっつけて、プリンセスを救うんだ!」
リーガンはそんなファンタジーな事を言った。
そんな言葉に、ちょっとシラケるティーンエージャー組。

「プリンセスなんて、何処にいるんだよ〜。」



「ほら、ここにいるじゃない!」
私ときすかさんを指差すが、その言葉にますますシラケる、大きな子供組。
ま、プリンセスはないか。




そんなこんなで2時間歩いて、頂上に到着。
そこは、こんな氷河が見渡せる所だった。


みんなで広大な景色を眺めてから、今度は落石実験をした。


この側の崖の上に立つ。
リーガンが、子供達を2人組にし安全な場所に座るように注意してから、大きな岩を崖から落とす。



どういう風に転がっていくか、真剣に見詰める子供達。

大きな岩はゴロゴロと転がり、あちこちでぶつかって砕けながら、下まで落ちていった。
下まで到達すると、歓声を上げる。
リーガンはその後も色んな岩を落として、その様子をみんなで見守った。


無事に実験が済んでから、もと来た道を戻る一同。



キャンプ地に帰ると、お楽しみのキャンプファイヤーだ。
周りに大きな木が生えていないため、手分けして枯れ木を探しまわる。
小さな枝も、みんなで探せば大きな山となった。


マックスが大事に抱えてきた木は、ベースに置く木として大切な役割を果たした。
マックス、グッドジョブ!


夕食のメニューはハンバーガー。
レタスとトマトとチーズは、1組ずつジップロックに入れてきた。

リーガンがキャンプファイヤーで焼いたハンバーグをパンにはさみ、この野菜セットを一緒にいれて作った。

これは美味しい!
外で食べると、格別に美味しいな。


夕食の後はマシュマロを串に刺して焼き、甘い香りの漂うそれをチョコレートと一緒にグラハムクラッカーに挟む。子供はみんな好きな、サモアの出来上がり。

お腹も心もいっぱいで、みんな大満足した。
食事が終わり私は一通り食器を洗ってから、トイレ(と自分が決めていた、丘の向こう)に行った。


そこで私が見たものは!!





生々しい、熊の足跡。

ハイキング中に見た物とは違って、新しい物だった。はっきりくっきりと、黒々とした土の上にたくさん付いている。





...いるよ。熊。





なんだか寒気がした。1人っきりでこんな所にいるのも怖い。
急いでテントに戻る。みんなもう、テントの中で休んでいる様子だった。



リーガンに、近くで熊の足跡を見たと興奮して告げる。
するとリーガンは驚きもせず、

「ああ、あれは新しい足跡だね。多分、2,3週間前の。」







リーガンよ、知ってたのか。


とりあえず、その夜はナイフを側に置き、恐る恐るテントで寝た。
きすかさんには黙っていたので、彼女はぐっすり眠れたようだった。


熊に襲われる事もなく、無事に翌朝を迎える。その日は雨の中パッキングし、道なき道を下りキャンプ終了。
色んな思い出が残った、楽しいキャンプとなった。
                              〜おしまい〜
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No title

ハンバーガーがめっちゃ、おいしそうーーー!
リーガンのアウトドア教室だね♪
氷河の冷蔵庫っていいね~
お疲れさま~次はどこだ!!

No title

楽しかったね~
熊の足跡にびびったね~
あの、洗剤も水に影響のない自然のを使ったり、帰る前に、人がいた形跡を残さないようにする心使いに感激しました。帰り道、わざわざリーガンさんは車を止めて。誰かが捨てていったビール瓶とか持って帰るのにはびっくり!確かにあそこまでいく人はあまりいないだろうから、誰かが拾わない限り永遠にそこにあり続けるでしょうね。キャンプ人としての心得まで教えていただきました。本当にありがと~

No title

すごい貴重な経験だね。
私も子供たちには色々な経験をと思っているけど、
自分がしんどいことはどうしても避けて、楽で楽しいことばかりに目がいってしまう・・・

せっかく今アラスカに住んでるんだから、
アラスカ感じるようなことをさせてあげたいな。

私はメルモさんの日記を読んで、
十分堪能しました。
ありがとう!

追伸
紫蘇はすくすく育ってます。

No title

>cocoさん
めっちゃ美味しかったよ〜!キャンプ飯は最高だよ。
リーガンはアウトドアの事をよく知ってるよ。話を聞くと、なかなか面白いよ♪

まだ、うちの夏の活動は始まったばかり。早く次のキャンプに行きたい...。その前に、鮭獲りにも。

>きすかさん
楽しかったね♪きすかさんファミリーと行けてよかったよ!ありがとね。

今もあの場所の風景を目に浮かべてます。いいよねー。あんな景色をまた見たいな。
アラスカは、どこに行っても美しいね。アラスカに住めて幸せだよ。

>ゆーみんさん
ゆーみんさんはアラスカの情報をたくさん知ってるから、すぐに行けそうですね。

しんどそうに見えても、うちの家族はこういうキャンプが大好きなんです。簡単すぎると、物足りない。
きっと楽しい事って、人それぞれ違うんでしょうね。でもゆーみんさんも、リーガンのアウトドア教室、一度行くとハマるかも!?

ところで紫蘇。そうですか、すくすく育ってますか...。
じ、実は私はすでに3つとも枯らしてしまったのです。なんで?大切にしてたのに...。ショックです。

No title

そうそう、これこそキャンプだよね。
日本じゃどこに行っても電線や車が見えるし。

その前にうちの旦那がだめそう。お腹弱くて一日何回トイレに行くんだ!?

熊がいたことを知っても、怖がらせまいと黙って一人警戒していたのでしょうね。優しいタフガイ、リーガン隊長について行きます!でも雷鳥は食さないでね。日本じゃ特別天然記念物ですから。アラスカでは鳩程度なの?

No title

>ちびすけさん
天然記念物!そうでした!!
アラスカでも、雷鳥は珍しいですよ〜。私はまだ2回しか見た事ないです。どちらもバックパッキングキャンプに行った時。
飛べないから、その辺を走り回ってて、可愛いんですよ。

誰もいない所でのキャンプ、すっごくいいですよ!
プロフィール

Nami

Author:Nami

アラスカ在住。

アメリカ生活20年。(いつの間にか)
99年に島根県隠岐の島で知り合ったアメリカ人リーガンと結婚し、テキサス移住。
2006年に夫の思い付きでまさかのアラスカお引越し。
息子は2人。(ムサシ&アラシ)
アンカレッジの山の家に住んでます。

夏はアウトドアで遊び、冬はひたすらジムに通う。
現在は、釣りとズンバに夢中。


「心も身体も健康に。毎日ハッピー」が私のテーマ



*ズンバインストラクター
アンカレッジでズンバクラスをしてます。ぜひ参加して下さい!
初心者大歓迎。

月曜日 6pm~ Body Renew South
火曜日 6pm~ The Salvation Army Center
木曜日 12pm~ The Salvation Army Center



ズンバのページ






*西邨マユミ アラスカ支部マネージャー
アラスカでプチマクロお料理教室してます。お仕事の依頼は
AKiroiro@gmail.com
まで。







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