キングサーモン釣りその2  キングを探せ



翌日。
釣具屋さんで最後の買い物を済ませてから、ニニルチックに向かった。




今日のハイタイドは午後1時半。
2時までには必ず、川に入っておきたい。

鮭は川に、潮が満ちる時に入ってくるらしい。それに合わせて釣り場に行かなければ。




ニニルチックの見晴らしのいいキャンプ場で、先に入った隊長達が場所を取ってくれていた。
その後に来たカシロフ組。はじめましての人達だった。


アラスカに長く住んでると、アラスカ在住の日本人とはみんな顔見知りになる。長く住んでる人は限られてくるから。
でも、この人達の事は聞いた事がなかった。




カシロフの日本人シェフは、マユミさんとサオリさん。
そしてサオリさんの旦那さんのジミーさんと赤ちゃん。

みんなフレンドリーで最初から話しやすく、ディープなアラスカの人という感じだった。





早速そこで玄米オニギリをもらう。
梅干しが入ってて、すごく美味しい!
日本食!癒されるね~。



テントを張ったらすぐに川へ向かう。
釣り場を教えてもらい、みんなで釣り開始!







隊長に、カーブの外側から10時の方向に投げればいいと教えてもらう。
「去年から見てるけど、ここで魚をあげる人が1番多い。」
と隊長。



買ったばかりの釣り竿を振る。
まだ上手くは投げられない。いっぱい練習しないと!なるべく遠くに投げて、ゆっくりリールを巻いていく。





しばらくの間投げる、そして巻くの動作を繰り返していた。
1時間ぐらい経って、だんだん釣竿の扱い方が慣れてきた。


これでいいのかな?
この投げ方で、このスピードで巻いてていいのかな?
魚は全然見えないけど、本当にいるの?


そんな疑問を感じている時だった。
隣にいたクリスティーナが突然叫んだ。




「隊長ー!」
びっくりして見ると、クリスティーナの竿が激しく引いている。




フィッシュ オン!!
クリスティーナはパニック。



興奮して、叫ぶ言葉が単語になってる。


「どうやって? 不可能!」





頑張ってクリスティーナ!出来る出来る。
頑張れクリスティーナ!釣ってー!!


周りにいるみんなも声をあげる。
魚がかかり、一気にその場のテンションが上がる。






釣竿が激しくしなってる。これは大物だ!

「どうやって?これ、バラしたら…。不可能!!」
リールを巻きながら、クリスティーナが叫ぶ。


大丈夫!いける!頑張れクリスティーナ。
クリスティーナは時々叫びながらも、どうにか岸まで魚を引っ張りあげた。隊長が網の中にランディング。




釣れた!
イエーーイ!
やったー!!




クリスティーナ、キングをゲット。
これはデカい!
すごいよ、クリスティーナ!


その場にいた誰もが笑顔。
この川の中に、本当にいるんだこんな大きな魚が。






クリスティーナが釣ってくれたお陰で、みんなの気持ちが一気に上がった。
水が濁ってるから見えないけど、ここに魚がいるんだ。


さぁ私も釣らなきゃ。
また釣竿を振り始めた。




しばらく投げて、そして考える。

いったいどこに投げたらいいの?
いるはずなのに、どこにいるんだキングは。




そうだ、先生に聞いてみよう!
私の釣りの先生、香港に住んでるYさん。毎年2ヶ月間アラスカに釣りをしに来る、プロの釣り師。

今回釣りに行く事も伝えてて、色々アドバイスをもらっていた。




クリスティーナが釣ったキングと、川の写真を送る。

「友達が釣りました。私はまだです。」
「どこに投げたらいいんですか?ヨレはどこですか?」




しばらくして、Yさんから返事が返ってきた。
「1番深そうで、流れがある所に止まると思います。」





深くて流れ。
いったいどこだ?


川を見渡し、そんな場所を探してみる。

去年Yさんが、船の上で教えてくれた。
魚が止まる場所がある。
川の流れを良く見てみると、違う所がある。ヨレがあるから、そこを通るようにすればいいと。




ロータイドで水が少なくなってきたので、しばらく休憩して川の全体を観察した。
そして川の写真を撮ってYさんに送る。

「これが全体像です。Yさんならどこを狙いますか?」




このカーブに外側から、投げているとも伝えた。


するとYさん赤ペン入れて、画像を送り返してくれた。






「魚はカーブの外側をまわって内側に行くはずです。」

「この線の上じゃないですか?友達が魚を釣ったのは?」




うわっ。すごい。
分かりやすい!

そうだよ、ここだよ、クリスティーナが釣ったのは。隣にいたから知ってるよ。





「そうです!クリスティーナが釣ったのは、ここです。なぜ分かる?」

「ここでしか休めない。」





休めない?
誰が??






魚か!



しかしすごいな。
この写真見ただけで、魚の通り道が分かるんだ。


ここを狙えという事ね。
ここに上手くルアーを持っていけばいいんだ。






更に面白くなってきたわ。
これって、釣りの実践講習?


私は現場にいて、先生は遠くから…





これは、遠隔講習だ!
その後も川の写真を送って、Yさんにアドバイスをもらっていた。




ちょうどこの場所を探っていた時、事件は起こった。



この下流も狙えるという事で、その場に移動。
ここは川の前が、シルトと呼ばれる細かい火山灰で泥。この泥にハマってしまうと抜けられない、底なし沼状態になってる危険地帯。

ハマらないように、気を付けてそっと歩いている時だった。




「どなたか~!助けて下さい!!」
という悲鳴が。

カシロフのマユミさんだった。


マユミさん、シルトに足を取られて動けない状態。




大変大変!
急いでマユミさんの元へ行く。


マユミさんのエクストラタフ、泥にすっぽりハマって抜けなくなっていた。


だけどマユミさん、大変な状況なのに笑わせてくる。
笑って力が入らない~。


なんとか笑いを堪え、
「私、力強いんで、引っ張ります。」
とマユミさんの両手を思いっきり引っ張った。


「わぁ、それはダメよ。」
とマユミさんは言い、そのまま危うく顔から泥の中に突っ込みそうになった。





助けるつもりが、更に悲惨な状況に!?


この時マユミさんの後ろでは、キングサーモンが大きくジャンプしてたそうだ。
それを言ったのはジョイさん。


私達が危機一髪の時に、後ろの鮭に注目してたとは!







大変な状況だけど、大爆笑。
騒いでいると、隊長とジミーさんが助けに来てくれた。


2人は泥の中に入って、手で長靴に付いてるシルトを掻き分けマユミさんを救出!




良かった~、助かった。

それにしてもマユミさん、面白い人だわ。ずっと明るくて、冗談ばかり言ってる人だと思っていたけど、こんな時にまで面白いなんて。


そして、シルトにハマるとここまで動けないとは。その事実を初めて知った。ありがとうマユミさん、身をもって教えてくれて。




シルト事件の後、夜の10時も過ぎていたので、キャンプ場に帰る事にした。


夕方ごろに、隊長の釣りの師匠であるAさんがアンカレッジから来て、翌朝は3時に鮭が入りそうと教えてくれた。
今日はここで終えて、朝3時に再びチャレンジします。




「随分遅かったね~。私はずっと暇だったわよ。」
キャンプ場で待っていたクリスティーナが笑いながら言う。

ルールで、キングサーモンは1日1匹しか釣れない。釣った後はずっと休んでいたクリスティーナ。


いいな、釣った人は。余裕だな。





夕食は、カシロフのシェフ達が色々作って持ってきてくれていた。
キャンプファイヤーで、それを温める。





ヤキソバに豆のスープに、手作りチーズや豆腐。
キャンプなのに、ご馳走!とっても豪勢。


なぜかビールやワインも並んでる。
肉はダメなのに、アルコールはいいんだ。


「ふふふ。たまには毒も必要よ。」
と笑うマユミさん。
その毒を、ボトルのままラッパ飲みしてる。




「マユミさん!」
笑いながら指摘すると、
「あら嫌だ、間違えたわ。」
ってマユミさん。ワインをラッパ飲みする動作がすごく自然でしたが、いつも?




この人、本当に面白い。
それにタフ!休まずずっと釣りしてた。
ほとんど地球釣ってたけど。


一緒にいると、楽しくてポジティブな気持ちになれる人。
またまた好きな人に出会ってしまったよ。私ってなんてラッキー。





マクロビのシェフが作った料理は、どれも美味しかった。




「そう言えばマユミさん、新商品発売してますよね?」
と隊長。



そうよ、これこれ。バルサミコ。
ちょっと食べてみて。



と渡されて、サラダの上にかけてみたら、めちゃめちゃ美味しい!



何これ?マユミさんの新商品??
どこで売ってるの?


え?イオンですか?大手じゃん。
すごい。




…マユミさんって、もしかして有名な人?





西邨マユミさん。
めちゃめちゃ有名な人でした。



マクロビをアメリカに広めた人だって。
10年間、住み込みでマドンナの専属シェフやってたって。






そう言えば、マドンナのシェフが日本人だと聞いた事があるけど。

え?このオモシロマユミさんが、その人なの??





ディープなアラスカの人ではなかったのね。
世界中で仕事をしてて、夏だけカシロフに住んでるんだって。


いや~、びっくりした。
そりゃあ、美味しいはずだ!

と言うか私達、そんなすごい人の料理を簡単に食べさせてもらったんだ。
びっくりびっくり。




「これと同じ料理をマドンナが食べていたわよ。」

マユミさんに言われ、頂いたスープをじっくり見てしまう。
じゃあ、これを食べていたらマドンナの身体になれるの?


「マドンナは、1日7時間ダンスとトレーニングしてたけどね。」



…あと4時間足りなかった!
まだまだだったわ。


「それからマドンナは、とてもストイックだったわよ。」



そこだ!
私にはストイックの文字がなかったわ。
残念。マドンナボディは諦めよう…。






だんだん分かってきた事がある。
人と知り合う時に肩書きや年齢や、そんな前知識は要らない。後で知って、驚けばいいだけ。
人に魅力を感じるのは、そんなトコロだけではないのだし。




ご飯が終わると、火の周りに座って語り出す人達。




「ねぇ、隊長は何について話してるの?」
クリスティーナに聞かれた。

「ヤバいよ、だんだん難しい話になってるよ。ポリティカルな話だよ。」




オーノー!
と言い、クリスティーナは笑った。
私も一緒に冗談言って笑った。





キャンプファイヤー囲んで熱く語る人達。
神妙な顔で聞いているジョイさん。その隣でジミーさんがなぜかギターを弾いている。

そして私達が関係なく、冗談言いながらケタケタ笑ってる。




なんてクレイジーな夜なんだ。
でもみんな忘れてませんか?
明日は3時に川に戻る事を。


もう夜中の1時近く。いったい何時間眠れるのよ?




アラスカの夏は眠れない。眠ってなんかいられない。
さぁ明日も釣りに頑張るぞ。
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プロフィール

Nami

Author:Nami

アラスカ在住。

アメリカ生活19年。(いつの間にか)
99年に島根県隠岐の島で知り合ったアメリカ人リーガンと結婚し、テキサス移住。
2006年に夫の思い付きでまさかのアラスカお引越し。
息子は2人。(ムサシ&アラシ)
アンカレッジの山の家に住んでます。

夏はアウトドアで遊び、冬はひたすらジムに通う。
現在は、釣りとズンバに夢中。


「心も身体も健康に。毎日ハッピー」が私のテーマ



*ズンバインストラクター
アンカレッジでズンバクラスをしてます。ぜひ参加して下さい!
初心者大歓迎。

ズンバのページ






*西邨マユミ アラスカ支部マネージャー
アラスカでプチマクロお料理教室してます。お仕事の依頼は
AKiroiro@gmail.com
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